業界別の志望動機をご紹介!志望動機の重要性、書き方や注意点についても解説
就活で必ず聞かれるのが「志望動機」
志望動機を通して、その企業でなぜ働きたいと思ったのかを、自分なりの価値観やエピソードなどを交えて伝える必要があります。
しかし、志望動機を作成するにあたって
「志望動機はどのように書けばよいのか?」
「業界ごとに書き方のポイントがあるのか?」
といった、悩みや不安を感じている方もいると思います。
そこで今回は、主要な業界における志望動機の例文をご紹介し、志望動機で企業が知りたいこと、志望動機の書き方や注意点についても解説していきます。ぜひ、最後まで読んでみてください。
志望動機で企業が知りたいこと
志望度の高さ
企業は、多大なコストと時間をかけて採用活動を行っています。そのため、「本当に自社に入社してくれるのか」という志望度の高さは、最も重要な評価項目の一つです。
この熱意は、「貴社でなければならない理由」の具体性によって評価されるといえます。
自己分析はもちろんのこと、企業理念への深い共感、事業内容への詳細な理解、同業他社との詳細な比較分析など、徹底的な企業研究に基づいた志望動機を作成することで、熱意を伝えることができるでしょう。
自社との相性
どれほど優秀な学生であっても、企業の文化や価値観と合わなければ、その能力を十分に発揮することはできず、早期離職につながるリスクも高まります。
採用担当者は、応募者が自社の「カルチャー」にフィットし、長期的に活躍してくれる人材かどうかを見極めようとしています。
ここでの判断材料となるのが、徹底的な自己分析を行っており、価値観や人柄、仕事に対する考え方が、企業の理念や社風とどのように合致するのかという点にあります。
そして、具体的なエピソードを交えて示すことで、「この学生は、うちの会社でいきいきと働いてくれそうだ」という納得感を与えることができるでしょう。
将来の活躍が期待できるかどうか
採用担当者は、応募者の志望動機から、入社後に成長し、企業に貢献してくれるポテンシャルがあるかどうかを読み取ろうとしています。
過去の経験(特に困難を乗り越えた経験)から見える問題解決能力、主体性や学習意欲、そして入社後に「何を成し遂げたいのか」という具体的なビジョンを明確に示すことで、将来の活躍イメージを採用担当者は具体的に描くことができ、採用するかどうかを決断するのです。
志望動機の書き方
採用担当者は多忙であり、一つのESにかけられる時間は限られています。そのため、伝えたい内容を分かりやすく、論理的に構成する能力は極めて高く評価されます。PREP法は、そのための最も強力なフレームワークであるといえます。
【PREP法とは】
PREP法は、「Point(結論)」→「Reason(理由)」→「Example(具体例)」→「Point(結論)」の順で文章を構成する手法です。この構造に従うことで、主張が明確になり、説得力が飛躍的に高まります。
P (Point):結論から述べる
まず最初に、志望動機の核心を簡潔に述べます。
「私が貴社を志望する理由は、〇〇だからです」というように、なぜその企業を志望するのかという結論を一文で明確に表現するようにしましょう。
この書き出しは、採用担当者の興味を引きつけ、続きを読む意欲を引き出すといえるでしょう。
R (Reason):理由を説明する
次に、冒頭で述べた結論の「理由」を説明します。
ここは、自己分析で見出した「自分の価値観(就活の軸)」と、企業研究で突き止めた「企業の魅力」を結びつけるパートです。
「貴社の〇〇という理念は、私が△△の経験を通じて培ってきた□□という価値観と合致しており、最も貢献できる環境だと考えました」といった形で、論理的なつながりを示すようにしましょう。
E (Example):具体的なエピソードで裏付ける
この部分が、志望動機にリアリティと説得力をもたらす部分です。
理由(Reason)で述べた自身の価値観や能力が、単なる思い込みではないことを証明するために、具体的なエピソードを提示します。
学業やアルバイト、サークル活動など、どのような経験でも構いませんが、重要なのは、その状況下で「自分が何を考え、どう行動し、どのような結果や学びを得たのか」を具体的に描写することです。
このエピソードの独自性こそが、他の候補者との差別化に繋がるでしょう。
P (Point):再び結論で締めくくる
最後に、冒頭の結論を再度述べ、入社後の貢献意欲や将来のビジョンを力強く示して締めくくります。
「以上の理由から、私は貴社の一員として〇〇という強みを活かし、△△の実現に貢献したいと強く願っております」というように、熱意を再確認させ、ポジティブな印象で終えることが重要です。
【例文あり】主要5業界別 志望動機の書き方
ここからは、業界ごとの特徴と、採用担当者に響くアピールポイントを、具体的な例文と共に解説します。
IT・通信業界
【業界の特徴と求める人物像】
変化の速い業界であり、常に新しい技術や情報への探究心が求められます。ビジネスモデルは大きく分けて、企業の課題をITで解決するSIer(エスアイヤー)と、自社サービスを開発・運営するWeb系の2つがあり、それぞれで求められる志向性が異なります。
〇共通する人物像:論理的思考力、学習意欲、チームで成果を出す協調性
〇SIer:顧客の課題を深く理解し、解決策を粘り強く考える「課題解決能力」
〇Web系:自社サービスへの共感と、サービスを成長させることへの「当事者意識」
【アピールすべきポイント】
・なぜIT業界なのか(ITで何を成し遂げたいのか)
・なぜその企業なのか(SIerかWeb系か、企業の技術力、事業領域など)
・自身の経験(プログラミング、チーム開発、課題解決の経験など)がどう活かせるか
【良い例:SIer】
私が貴社を志望する理由は、IT技術を駆使して企業の根幹を支え、日本全体の生産性向上に貢献したいからです。
大学のゼミで、地域の中小企業が人手不足と非効率な業務プロセスに苦しんでいる現状を調査しました。その際、ある企業がITツールを導入したことで、従業員の負担が大幅に軽減され、新たな商品開発にリソースを割けるようになった事例に感銘を受けました。
この経験から、ITは単なる業務効率化ツールではなく、企業の成長を加速させるエンジンであると確信しました。
特に貴社は、金融や製造といった日本の基幹産業に対し、長年にわたる深い業務知識と最先端の技術力を掛け合わせたソリューションを提供しています。
貴社の中期経営計画にある「〇〇業界向けDX支援の強化」という方針にも強く共感しており、私がゼミで培った課題分析力と粘り強さを活かし、顧客に真に寄り添うエンジニアとして、企業の変革に貢献したいと考えています。
金融業界
【業界の特徴と求める人物像】
銀行、証券、保険など、形のない「信用」を扱うビジネスです。顧客の大切な資産を預かるため、何よりも誠実さと責任感が重視されます。また、経済や社会情勢の変化を正確に読み解く分析力、顧客との信頼関係を築くコミュニケーション能力も不可欠です。
〇求める人物像: 誠実さ、責任感、論理的思考力、学習意欲、ストレス耐性
【アピールすべきポイント】
・なぜ金融という無形商材を扱いたいのか
・なぜその業態(銀行/証券/保険)で、その企業なのか
・誠実さや責任感、顧客志向の強さを示すエピソード
【良い例:銀行(法人営業)】
私が貴行を志望する理由は、企業の挑戦を資金面から支え、日本経済の持続的な成長に貢献したいからです。
学生時代、私は飲食店でのアルバイトリーダーとして、売上向上のための新メニュー開発を提案しました。しかし、当初はオーナーから「失敗したらどうするんだ」と資金的な懸念を理由に反対されました。
そこで私は、過去の売上データ分析に基づいた詳細な需要予測と収益シミュレーションを提示し、粘り強く説得を続けました。結果的に提案は承認され、新メニューは成功し、店舗の売上は前年比120%を達成しました。
この経験から、挑戦には資金的な裏付けと、熱意を論理的に伝える対話が不可欠だと学びました。
貴社は、単に融資を行うだけでなく、企業の成長ステージに合わせたコンサルティングにも力を入れており、特に「〇〇分野へのスタートアップ支援」を強化されています。
私の強みである「データに基づき相手を説得する力」を活かし、情熱ある経営者の方々に寄り添い、企業の挑戦を一番近くで支える存在になりたいと考えています。
メーカー
【業界の特徴と求める人物像】
自社で「モノづくり」を行い、それを社会に提供することで価値を生み出す業界です。
自動車、食品、化学、電機など多岐にわたります。一つの製品が世に出るまでには、研究、開発、生産、営業、マーケティングなど、多くの部門が関わるため、チームワークや協調性が非常に重要視されます。
〇求める人物像: モノづくりへの情熱、当事者意識、責任感、協調性、目標達成意欲
【アピールすべきポイント】
・なぜその業界・その製品なのか(製品への想い、原体験)
・なぜその企業なのか(技術力、品質へのこだわり、企業理念への共感)
・チームの中で自身がどのように貢献できるかを示すエピソード
【良い例:食品メーカー(商品企画)】
私が貴社を志望する理由は、「食」を通じて人々の日常に小さな幸せを届けたいという想いと、貴社の「健康と美味しさの両立」を追求する姿勢が強く合致しているからです。
私は学生時代、アレルギーを持つ友人のために、米粉や豆乳を使ったお菓子作りを趣味としていました。初めは味が淡白になりがちでしたが、食材の組み合わせや調理法を何十通りも試行錯誤する中で、アレルギーの有無にかかわらず誰もが「美味しい」と笑顔になれるレシピを完成させることができました。
この経験から、人々のニーズに応え、工夫次第で新しい価値を生み出すことの喜びに目覚めました。
貴社は業界に先駆けて「減塩・低糖質」シリーズを展開し、美味しさを損なわずに健康価値を提供する製品開発力に定評があります。貴社の製品が、健康を気遣う私の祖母の食生活を豊かにしているのを目の当たりにし、私も作り手の一員になりたいと強く感じました。
私のお菓子作りで培った「徹底的に利用者の視点に立ち、粘り強く課題を解決する力」を活かし、貴社の商品企画部門で、より多くの人々の日常を豊かにする商品を届けたいです。
コンサルティング業界
【業界の特徴と求める人物像】
企業の経営課題を明らかにし、解決策を提示する役割を担い、常にクライアントから高い成果を求められるため、極めて高い論理的思考力、知的体力、そして貪欲なまでの成長意欲が必要です。
〇求める人物像: 論理的思考力、課題解決能力、知的好奇心、精神的タフネス、成長意欲
【アピールすべきポイント】
・なぜコンサルタントになりたいのか(課題解決への強い興味、知的好奇心など)
・なぜそのファームなのか(戦略系/IT系/組織人事系などの専門性、ファームの理念)
・自身の経験の中で、高い思考力や分析力を発揮して課題を解決したエピソード
【良い例:戦略コンサル】
私が貴社を志望する理由は、多様な業界の経営課題と向き合い、知的好奇心と分析力を武器に本質的な課題解決に貢献したいからです。
私は長期インターンシップで、あるWebメディアのアクセス数改善に取り組みました。当初は闇雲に記事を量産していましたが、アクセス数は伸び悩みました。
そこで私は、過去半年の全記事のデータをGoogle Analyticsを用いて分析し、「特定のキーワードを含む記事は滞在時間が長い」「SNSからの流入は直帰率が高い」といった複数の仮説を立てました。
その仮説に基づき、ターゲット読者のペルソナを再定義し、コンテンツの質を重視する戦略に転換した結果、3ヶ月で月間PV数を200%向上させることに成功しました。
この経験を通じて、表面的な事象に囚われず、データに基づいて構造的に問題を捉え、解決策を導き出すプロセスに強いやりがいを感じました。そして、数あるファームの中でも、少数精鋭で若いうちからクライアントのトップと対峙できる機会が多く、個の成長を重視する貴社の環境に強く惹かれています。
私の強みである「仮説構築力とデータ分析力」を更に磨き上げ、一日も早くクライアントに価値を提供できるコンサルタントになりたいです。
広告・メディア業界
【業界の特徴と求める人物像】
広告やコンテンツを通じて、世の中のトレンドを作り出し、人の心を動かす仕事です。華やかなイメージがある一方、クライアントの課題を解決するための地道な分析や、多くの関係者をまとめる調整力も求められます。好奇心旺盛で、コミュニケーション能力が高い人材が活躍します。
〇求める人物像:創造性、コミュニケーション能力、トレンドへの感度、課題解決能力、実行力
【アピールすべきポイント】
・なぜ広告・メディアなのか(世の中に影響を与えたい、人の心を動かしたいなど)
・なぜその企業なのか(得意な領域、過去の実績、企業理念への共感)
・好奇心や創造性を発揮して、何かを企画・実行したエピソード
【良い例:広告代理店】
私が貴社を志望する理由は、クライアントの課題解決と社会への新たな価値提供を、クリエイティビティの力で両立させたいからです。
私は大学のダンスサークルで、毎年開催する単独公演の集客担当を務めました。例年はSNSでの告知が中心でしたが、観客層が固定化しているという課題がありました。
そこで私は、公演のテーマである「多様性」と、大学近辺の商店街が抱える「若者客の減少」という課題を結びつけ、「商店街でのゲリラパフォーマンス」を企画しました。
事前に店主の方々と交渉を重ね、SNSでの告知も商店街と連動して行うことで、当日は多くの地域住民の方々が集まり、公演チケットも前年比150%の売上を達成しました。
この経験から、一見無関係なものを結びつけ、関係者全員がwin-winとなる企画を生み出すことに面白さを感じました。貴社は、単に広告を作るだけでなく、〇〇という社会課題解決型のプロジェクトを成功させるなど、広告の枠を超えたコミュニケーションをデザインしています。
私の強みである「課題発見力と人を巻き込む企画力」を活かし、クライアント、そして社会をポジティブに動かす新たなコミュニケーションを生み出したいです。
志望動機をを書く上での注意点
自己分析を徹底する
志望動機を書く上で、自身の「就活の軸」を明確にし、仕事選びにおいて何を最も大切にし、どのような価値観に基づいてキャリアを歩んでいきたいかという、徹底的な自己分析が不可欠です。
具体的には、自分史やモチベーショングラフなどを作成し、自分の強みが発揮された経験は何なのか、どのようなことにやりがいが喜びを感じるのかなどを、深く分析してみましょう。
一見些細なことでも、深く掘り下げていくことで、自分自身の軸や価値観が見えてくるため、志望動機だけでなく、企業選びや自己PR、ガクチカを語る上でも非常に重要になるでしょう。
企業の求める人物像を踏まえる
企業に刺さる志望動機を作成するにあたって、企業研究を行い、企業の求める人物像を理解することも重要です。
企業HPやIR情報の確認、OB/OG訪問などを通して、業界研究とともに行うことで、その企業について深く理解することができるはずです。
そして、研究を通して見えてきた「求める人物像」に合ったアピールをすることが、志望動機において求められることであるといえます。
☞企業研究の方法やメリット、選考で活かすためのポイントを徹底解説
「数字」と「固有名詞」の活用
志望動機に説得力を持たせるためには、「具体性」が重要なポイントであるといえます。
そのため、曖昧で抽象的な表現ではなく、定量的表現を徹底することや、固有名詞でリアリティを出すことが重要であるといえるでしょう。
定量的表現においては、具体的な数字(成長率や導入社数、受賞歴など)で示すことで、なぜこの会社に惹かれたのかや、他社との違いについても明確に示すことができるはずです。
また、固有名詞でリアリティを出す点においては、具体的な名称を記述することで、話の信憑性が増し、「企業研究をしっかり行っている」という良い印象を与えることができるでしょう。
提出前の最終チェック
最後に、書き上げた志望動機を提出する前に、必ず以下の点を確認しましょう。
✅結論から書かれているか?(PREP法)
✅「なぜこの業界?」「なぜこの会社?」に自分なりの言葉で答えられているか?
✅具体的なエピソードで、自分の強みが説得力をもって語られているか?
✅入社後にどう貢献したいか、未来のビジョンが示されているか?
✅「学びたい」「成長したい」といった受け身の姿勢になっていないか?
✅誰でも言えるような抽象的な言葉(例:「社会貢献」「コミュニケーション能力」)だけで終わっていないか?
✅企業のWebサイトや理念をただコピペしただけになっていないか?
✅誤字脱字はないか?
おわりに
ここまで、業界別の志望動機の例文の紹介や、書き方や注意点などについて解説しました。
志望動機では、「①なぜこの業界で働きたいのか(Why Industry?)」「②なぜこの会社でなければならないのか(Why Company?)」「③入社後、自分はどう貢献できるのか(Why Me?)」という3つの問いを、自分自身の言葉で作成することが重要です。
本記事で紹介した例文は、あくまでも一例であるため、 決して丸写しするのではなく、「この例文は、なぜ評価されるのだろうか」「自分の経験に置き換えるなら、どのエピソードが使えるだろうか」と自問自答を繰り返すようにしましょう。
まずは、自己分析や業界・企業研究をし、就活のプロなどにアドバイスや添削をしてもらいながら作成していくことで、企業に刺さる志望動機を作成することができるはずです。
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