ベンチャー企業のES対策|“企業別”に差がつく書き方と企業研究の手順
「ESが書けない」「志望理由がまとまらない」。その原因は、文章力ではなく“企業研究の解像度”にあることがほとんどです。ベンチャーのESで評価されるのは、うまい文章ではなく、「その会社のこの仕事に、この理由で入りたい」まで具体化できているかどうか。本記事では、チアキャリアの選考体験データ(3,251本)をもとに、設問別の書き方を「NG→OKの型→例文」で整理し、企業研究の手順と提出前チェックリストまでまとめます。
この記事の要点
・ES設問は「志望理由・ガクチカ・自己PR・企業理解」で約4割を占める
・どの設問も「結論 → 根拠(行動・数字) → この会社への接続」の型で書ける
・会社固有の情報を設問ごとに1行入れるのが、差がつくポイント
ベンチャーのESでは何が見られているのか
大手は「志望動機の完成度」を見ますが、ベンチャーは「この会社のこの仕事に、この理由で入りたい」まで具体化されているかを見ます。採用人数が少なく、入社後の仕事が決まっている企業が多いため、解像度の差がそのまま評価差になります。
見られるのは、次の3点です。
| 見られる点 | 確認されていること |
|---|---|
| なぜその会社か | 業界・事業への理解が伴っているか(一般論で終わっていないか) |
| なぜ自分か | 自分の経験と、その仕事内容が接続しているか |
| 入社後の姿 | 何をやりたいか、どう成長したいかが具体的か |
どの設問が多いのか|選考体験データ3,251本から
チアキャリアに蓄積された選考体験データ(3,251本)を整理すると、ES設問として最も多く登場するのは「志望理由」で488件。次いで「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」450件、「自己PR」305件、「企業理解」193件と続きます。上位3カテゴリで全体の約4割を占めており、この4つを書き分けられるだけで、対策の大半が済むことになります(出典:チアキャリア 選考体験データ 3,251本/2026-10-14時点・Deep Research整理)。
| 設問カテゴリ | 件数 |
|---|---|
| 志望理由 | 488 |
| ガクチカ(学生時代に力を入れたこと) | 450 |
| 自己PR | 305 |
| 企業理解 | 193 |
職種別では、営業1,149件・エンジニア669件・コンサル317件の順に体験談が多い職種です(出典:同データ)。営業職の選考体験が多いのは、ベンチャーが事業拡大のために営業採用を厚くしているためで、ESでも「数字に向き合った経験」が問われやすい傾向があります。
自分の志望職種の体験談を読むと、ESで問われやすい経験の傾向が掴めます。たとえば、営業なら「数字・目標に向き合った経験」、エンジニアなら「ものづくり・自走の経験」、コンサルなら「課題を構造化した経験」が問われやすい。 選考体験談は職種で絞って読むのが効率的です。自分の経験のどの部分を主軸に置くかを、先に傾向から決めてしまうと、書き出しで迷いません。
| 職種 | 選考体験データ件数 |
|---|---|
| 営業 | 1,149 |
| エンジニア | 669 |
| コンサル | 317 |
設問別の書き方|「NG → OKの型 → 例文」
どの設問にも共通する基本の型があります。「結論 → 根拠(行動・数字) → この会社への接続」の3ブロックです。これを設問ごとに当てはめていきます。
| 設問 | 結論(最初の2文) | 根拠 | 接続 |
|---|---|---|---|
| 志望理由 | 事業・仕事のどこに惹かれたか | 自分の経験 | 入社後の活かし方 |
| ガクチカ | 行動と結果を一文で | 行動 → 工夫 → 結果(数字) | 学び → 仕事への姿勢 |
| 自己PR | 強みを1語で | 根拠となる行動 | 別の場面での再現性 |
| 企業理解 | 業界の中のこの会社の位置づけ | 事業の構造と課題 | 自分の関心領域 |
① 志望理由|「どの会社にも書ける」を1行でも減らす
よくあるNG:「御社の成長性に魅力を感じました」「社風が合いそうでした」。この表現はどの会社にも書けてしまうため、読む側には何も伝わりません。
OKの型:①事業・仕事のどこに惹かれたか(具体)→ ②自分のどの経験がつながるか → ③入社後にどう活かしたいか。最初の2文で結論を言い切ります。
例文:「△△事業の立ち上げ期に□□という課題があると、代表インタビューで読みました。私は▲▲(経験)で〜を工夫し、〜という結果を出しました。同じように、□□の課題に対して〜の形で貢献したいです。」
② ガクチカ|行動 → 工夫 → 結果 → 学びの順で書く
よくあるNG:結論が遅い/「一生懸命頑張った」だけで結果がない/数字がまったく無い。
OKの型:結論 → 行動 → 工夫 → 結果(数字を1つ)→ 学び。短くても「工夫」と「結果」が入っていれば伝わります。
例文:「アルバイト先の飲食店で、原価率の改善に取り組みました。発注の記録を分析し、〜を工夫した結果、3か月で〜を改善しました。この経験から、制約の中で改善を回す力を得ました。」
数字が出せないとき:件数・期間・頻度・前後の比較(例:月10件→月25件)など、変化が分かる形に置き換えれば十分です。
③ 自己PR|「性格語」ではなく「行動」で示す
よくあるNG:「真面目です」「協調性があります」。性格を表す言葉は、根拠がないと誰にでも当てはまります。
OKの型:強みを1語で言い切る → その根拠となる行動 → 別の場面でも再現している(再現性)。
例文:「私の強みは『現状に満足せず改善を回す力』です。〜(行動)。同じ姿勢は、〜(別の場面)でも発揮しています。」
④ 企業理解|業界の一般論ではなく「この会社の構造」を書く
よくあるNG:業界の一般論だけ/会社HPの受け売り/どこかで読んだマクロな話で終わる。
OKの型:業界の構造と課題 → その中でのこの会社の位置づけ → 自分が関心を持つ領域。ここでも2文目までに結論を置きます。
例文:「△△業界は〜という構造で、御社は〜を強みに〜を狙っています。私は特に〜の領域に関心があり、〜の理由から、御社の〜に取り組みたいです。」
企業研究の具体|3手順とメモの取り方
書き分けの土台は企業研究です。次の順で進めると、短時間で「会社固有の情報」を集められます。
手順1:募集要項で仕事内容と求める人物像を確認する。「何をする仕事か」を最初に押さえます。ここがずれていると、後でどれだけ書いても響きません。
手順2:代表インタビュー・社員の声で「意思決定の軸」を拾う。事業の優先順位や、会社が何を大事にしているかが分かります。志望理由の「なぜその会社か」は、ここから作れます。
手順3:選考体験談で「実際に何を聞かれたか」を知る。チアキャリアの選考体験談では、実際の設問・面接の流れ・通過した人の回答傾向を確認できます。傾向を掴んでから書くと、的外れが減ります。
メモの取り方(3列メモ):「事実/自分の解釈/設問への接続」の3列で記録します。たとえば「事実:代表が◯◯と発言/解釈:〜を重視している/接続:志望理由に1行入れる」。この型で、設問ごとに会社固有の情報を1行入れる状態を作ります。
書き分けの実例|同じ学生がA社とB社でどう変えるか
「営業志望」の学生が2社を受ける場合を考えます。骨格は同じでも、主軸に置く経験と接続の1文を入れ替えるだけで、企業ごとのESになります。
| A社(既存顧客に寄り添う商材) | B社(新規開拓型) | |
|---|---|---|
| 主軸に置く経験 | 接客・傾聴の経験 | 目標達成・飛び込みの経験 |
| 接続の1文 | 「お客様の課題を深く理解して提案する仕事に就きたい」 | 「新規開拓を仕組みで回す仕事に就きたい」 |
同じ人物・同じ経験でも、会社が求める仕事に合わせて「主軸」と「接続」を変える。これが「企業別に書き分ける」の実務です。逆に、接続の部分を変えずに使い回すと、どちらの会社にも刺さらないESになります。
提出前チェックリスト
| 項目 | 確認 |
|---|---|
| 会社固有の情報 | 設問ごとに1行以上入っているか(どの会社にも書ける表現が残っていないか) |
| 結論の位置 | 最初の2文で結論を言い切っているか |
| 数字 | 行動・結果に数字(または変化)が1つ以上あるか |
| 文字数 | 指定の文字数に収まっているか(8〜9割は必須) |
| 接続 | 「なぜ自分か」が仕事内容とつながっているか |
| 仕上げ | 提出前に音読し、話し言葉になっていないか確認したか |
よくある質問
Q. ESはいつから始めればいいですか。
A. 早期化が進んでいるため、大学3年の夏(インターン前後)から準備を始めるのがおすすめです。まず自己分析とプロフィール整備から着手してください。
Q. ガクチカに数字がありません。
A. 件数・期間・頻度・前後の比較など、「変化が分かる形」に置き換えれば十分です。数字そのものより、工夫と結果のつながりが読まれます。
Q. 志望理由が書けません。
A. 募集要項→代表の言葉→選考体験談の順で情報を集め、3列メモで「設問への接続」を作ってください。ゼロから書くのではなく、集めた事実から組み立てるのがコツです。
Q. 企業ごとに書き分ける時間がありません。
A. 骨格(結論→根拠→接続)は共通でOKです。会社ごとに変えるのは「接続」の1〜2文だけで済みます。
Q. 自己PRとガクチカの内容が同じになりそうです。
A. ガクチカは「出来事と結果」、自己PRは「あなたの強み」を語る設問です。同じ経験を使っても、ガクチカは行動と結果に、自己PRは「その経験から何が分かるか(強み)」に重心を置くと書き分けられます。
ESは面接の「台本」としても使える
ESは提出して終わりではありません。書いた内容は、そのまま面接で深掘りされます。逆に言えば、ESで「行動 → 工夫 → 結果」まで書いておけば、面接での受け答えもその流れで組み立てられます。
提出前に、各設問について「この1行を面接で聞かれたら、口頭で答えられるか?」を確認してみてください。ここが曖昧なままだと、面接でつまずきます。ESと面接の一貫性を最初から意識して書くのが、結果的に一番の近道です。
まとめ
・ES設問は「志望理由・ガクチカ・自己PR・企業理解」で約4割。この4つを書き分ければ対策の大半が済む
・どの設問も「結論 → 根拠(行動・数字) → この会社への接続」の型で書ける
・会社固有の情報を設問ごとに1行入れる。集めるのは「募集要項 → 代表の言葉 → 選考体験談」
ベンチャー・成長企業からスカウトが届く就職サイト「チアキャリア」で、企業ごとの選考体験談・求人をチェックできます。まずは会員登録(無料)から、自分に合う企業を探してみてください。
▶ チアキャリアに会員登録する(無料)
▶ 選考体験談を読む
出典:チアキャリア 選考体験データ(3,251本/2026-10-14時点・Deep Research整理)。