今知って欲しい大学発ベンチャーまとめ
起業ハードルの下がった昨今では「学生起業」というものも珍しくなくなってきました。
若い視点や、周囲に取り巻く課題への意識から、若いうちからの挑戦に対する評価や応援の姿勢も変化し、大学との共同プログラムや行政からの支援も充実してきたことも背景にあるでしょう。
ただ、ひとくくりにされがちなこの「学生起業」ですが、実は様々な分類に分かれていることをご存じでしょうか?
【大学発ベンチャー(学生起業)の種類とは】
1.研究成果ベンチャー
⼤学で達成された研究成果に基づく特許や新たな技術・ビジネス⼿法を事業化する⽬的で新規に設⽴されたベンチャー
2.共同研究ベンチャー
創業者の持つ技術やノウハウを事業化するために、設⽴5年以内に⼤学と共同研究等を⾏ったベンチャー
3.技術移転ベンチャー
既存事業を維持・発展させるため、設⽴5年以内に⼤学から技術移転等を受けたベンチャー
4.学生ベンチャー
⼤学と深い関連のある学⽣ベンチャー
5.関連ベンチャー
⼤学からの出資がある等その他、⼤学と深い関連のあるベンチャー
(出典:経済産業省大学発ベンチャー等実態調査より)
最も多いのは「研究成果ベンチャー」で、所謂理系学生が研究成果を基に特許を取得し、そこから法人登記したものがこれに当たります。
恐らく私たちに最も馴染みが深い「学生ベンチャー」は所謂「在学生が起業したもの(大学の起業プログラムやビジコン出場者等)」で、こちらは研究成果ベンチャーに次いで2番目に多い数となっています。
ちなみに2005年度では1430社、2015年度では1773社であった大学発ベンチャーの数は2019年度には2566社と数字で見ても急激に増えてることが分かり、就職活動の選択肢としても「若い経営者と高い裁量権を持って働きたい」という人には無視できないジャンルとなっています。
注目の学生発ベンチャーまとめ
株式会社ユーグレナ
『人と地球を健康にする』を経営理念に掲げ、ミドリムシの研究を食料品や化粧品、バイオエネルギーへ転換したバイオテクノロジーベンチャーとして最も知名度の高い企業の一つ。
創業者は、大学時代にアジアの最貧国の一つ、バングラデシュ共和国に行ったときに栄養失調に苦しむ子供たちを目の当たりにし、栄養豊富な食材の研究を進める中でミドリムシの栄養分に焦点を充て、起業に至りました。
現在ではバングラデシュにおける栄養改善プログラムの実施など、単なるバイオテクノロジーベンチャーとしてではなく、社会課題解決の文脈でも注目を集める企業です。
株式会社Gunosy
『情報を世界中の人に最適に届ける』を企業理念に掲げているメディアコンテンツベンチャー。
創業者たちが大学院生の時に機械学習を学んでいる際に、情報収集の効率化が出来ないかを考えたことがきっかけで創業。
スマートフォンが普及し、人々が日々触れる情報量が飛躍的に増えたことで、情報の選別は大きなテーマになりました。その中で、触れる情報価値の最大化をどうするのか、ということを模索しており、現在では関連企業も多数生み出されています。
株式会社タイミー
『一人一人の時間を豊かにする』をビジョンに、面接応募なしですぐに働けるアルバイトマッチングアプリを開発・運営しているベンチャー企業です。
代表の小川さんが大学時代に「自分の暇な時間をいれておけば、その時間で出来ることを提案してくれるアプリはないのか」という課題意識から生まれたサービスで、「暇な時間」という空白を価値創造や収入源にすることが出来れば、人生の選択肢を増やすことが出来るのではないか、という側面と慢性的な人不足に悩むアルバイト社員を雇用する産業とを結ぶ、まさに生き方の多様化が進む現代らしいベンチャーです。
株式会社arca
プロデュースカンパニー株式会社adotの子会社として、当時大学生クリエイティブディレクターだった辻愛沙子さんが立ち上げた企業。
「社会派クリエイティブ」を名乗る辻さんらしい、社会課題をデザインの力でどう解決するのか、というテーマであったり、若者文脈や視点を理解した上でクリエイティブにどう落とすのかという視点であったりと、鋭い切り口で広告の文脈から社会にメッセージを届ける今広告業界で語ることを避けられない注目のベンチャー企業です。
また、辻さんは日本テレビで放送中の「news zero」の水曜日キャスターや、ハフポストLiveなどでも様々なアイコンを越境して、社会課題に一石を投じる姿が多くの人の賛同を集めています。
伝えたかった「大学発ベンチャー」について
今回、大学発ベンチャ―の中でも既に大きくなりつつある企業から、
まだシードに当たるベンチャーなど、幅広く取り上げていきました。
一口に「大学発ベンチャー」と言っても様々な形があること、
そしてそれぞれに違った魅力があることが少しでも伝われば幸いです。
また、ここでも取り上げきれなかった多くのベンチャーでも
「若者が持つ疑問や視点」からの「課題解決」
という流れでの起業が非常に多いのが印象的で、
近年のビジョンドリブン経営のベンチャーが注目を集める潮流と大きくかぶることを感じました。
若い世代が社会の様々な課題に疑問を持ち、
それを今はないサービスや仕組みで解決しようとする「意思表示」の1つとして大学発ベンチャ―企業が役割を果たしていけば、
起業や就職という枠組みに囚われることなく、就職活動という流れでの選択が「自分がどの問題に向き合いたいのか」という生き方の選択に重なってくることが考えられます。
今後も増え続ける大学発ベンチャー
きっと次の時代を創るヒントが隠されているはずなので、是非チェックしてみてください。