落語『目黒のさんま』みたいな小話。ブラック企業

2020.03.02

落語『目黒のさんま』みたいな小話。ブラック企業

どうも通販亭酒楽と申します。
昔から箱入り娘は、下々の庶民の生活を知らず、刺激的な毎日を求める物語はよく見ます。 
大切に育てられる分、人と違う感性を持つものなのかもしれません。 

「私もお友達とインターンシップに参加したい」 いきなりそう叫んだのは、誰もがしる一部上場している大企業の社長令嬢。 
この社長令嬢、大学を卒業したら許婚と結婚するはずだったのですが、 昨今の女性の社会進出のニュースに感銘を受け、
自分も一度働いてみたいと、家の人たちには黙って友人たちと一緒にインターンシップに応募をしてしまったようです。 

さあ困ったのは社長令嬢の父。
「もともと嫁入りさせるために育ててきたのに、就職するなんていかがなものか」 といったものの、社長令嬢は言うことを聞かず勝手に応募。 
しかも、箱入り娘として、大切に育てられていたため、世間知らず。 
インターンで行った会社は、とにかく激務。
インターンに任せるような内容とは思えないほどの過酷な労働に怒声罵声の嵐。
一緒にインターンをしている仲間たちは「とんでもないブラック企業だ」と口をそろえて言う始末。

しかし社長令嬢、生まれてはじめての労働。
その未知の世界に刺激を受け、毎晩終電、時には朝までの激務なのにも関わらず、「ブラック企業」というのをすっかり気に入り、 自分も就職をしたいと父に相談しました。
父はそんな娘の強い説得に折れ、自分の会社で働くことを条件に就職を認めることに。 

4月になり、社長令嬢、父の経営する大企業で働きだしました。 
しかし流石は大企業。最初は手厚い研修から始まり、ノー残業デイが設けられ、理不尽に怒られることはありません。 
しかも、自分は社長令嬢。まわりは必要以上に過保護、インターンを受けていた日々のような刺激はありません。

ある日のこと、
父に「これが働くってことですか。まちがってませんか?インターンのときはもっと理不尽なことで怒られて終電で帰っても終わらない仕事量の毎日だったんですが・・・」 と相談したところ
「うちは日本一のホワイト企業を目指してるから、そんなひどい労働条件で働かせるなんてことはさせないよ」 と父。
社長令嬢これに一言 
「あっ、それはいかん。会社はブラック企業に限る」 

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